錦織「負けそうで負けた」全豪初戦敗退…体と頭の現在地
錦織圭(31=世界ランク42位)は、「勝てそうで勝てないけど、負けそうで負けない」と言われる。
試合結果は最後まで分からない。そんな意外性の根っこにあるのは独特の粘り強さであり、豊富な経験に裏打ちされた技術だろう。
だとすれば、錦織が本来の姿を取り戻すにはまだまだ時間が必要ということか。8日に行われた全豪オープンテニス1回戦はカレノブスタ(29=同16位)に5―7、6―7、2―6のストレート負け。全豪の初戦敗退は2009年以来、実に12年ぶりだ。
この日はサービスエースを決めるなど順調な立ち上がり。第1セットは僅差、第2セットはタイブレークまでいって落とした。0―2と追い込まれたものの、好調時の錦織なら「負けそう」なここから見せ場をつくったはずだ。
しかし、いまの錦織は現状を覆すだけの体力も経験も不足している。第3セットは疲労の色がアリアリで、一方的な展開で押し切られた。
なにしろ前週の国別対抗戦ATP杯は約4カ月ぶりの実戦。豪州入り直後はコロナ禍の影響で2週間、ホテルの部屋に缶詰めにされた。
調整不足は他の選手も一緒だが、長期間にわたって実戦から遠ざかっていた錦織にとってはひときわ大きなダメージになった。
「(実戦に)復帰して以降では、一番、良いプレーだったと思う。落胆はしていない」とは試合後の本人だ。