元プロレスラー谷津嘉章さん 東京五輪聖火ランナーの決意
谷津嘉章さん(元プロレスラー・64歳)
1980年に新日本プロレスでデビューし、全日本、ジャパン、SWS、SPWFなどさまざまなプロレス団体、そして総合格闘技のリングで活躍。だが、2年前の6月、糖尿病を遠因とする壊死のため右足の膝下を切断した。今回登場の谷津嘉章さん(64)だ。昨年は東京五輪の聖火ランナーに選ばれたものの、延期のため走ることはかなわなかった。さて、今どうしているのか?
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2月4日、東京・後楽園ホールで開催された故・ジャイアント馬場さんの「23回忌追善興行」。追悼セレモニーの際、リングを取り囲むように並んだゆかりの元レスラーたちの中に谷津さんの姿があった。
「俺、デビューは新日本だけど、全日本リングの期間が何倍も長いだろ。長州(力)さん、亡くなられた(ジャンボ)鶴田さんとはタッグを組んで、インターナショナル・タッグや世界タッグの王座に何回も就いてるし、馬場さんには本当にお世話になったんだ」
現在住んでいるのは群馬県高崎市。この日は知人が運転する車で駆けつけた。
「新日本所属の武者修行時代、米国・カンザスシティーで初めて会ったのに服や靴まで買ってくれたり、全日本時代に地方の試合会場に行くバスの車内で硬くなった饅頭を食べさせられたり……。馬場さんにはいろんな思い出があるよ。黙祷してる時、天国から降臨したような気がしたなあ」
取材は日を改め高崎市内で。指定されたJRの駅へ行くと、愛車のスズキ・ジムニーのハンドルを握って現れた。
「群馬は車社会だから、友人と会うにもスーパーへ買い物に行くにも“足”は必要でね。一昨年の2月に買って、義足でも乗れるようにブレーキとアクセルを改造してあるんだよ」