阪神・佐藤輝明の陰に隠れた4番・大山悠輔は見たくない
近年、この数字に近づいた打者といえば2005年の今岡誠(29本)、そして昨年の大山悠輔(28本)だ。特に昨年の大山は惜しかった。コロナ禍によりシーズン120試合制に短縮されなければ、30本を超えていたはずだ。
■大山はまだ本塁打8本
そんな中、今年は怪物ルーキー・佐藤輝明が63試合消化時点で18本塁打を放っている。これは143試合に換算すると40本以上のペースであり、いよいよ掛布・岡田以来の30本超えが現実味を帯びてきた。今年こそ今年こそ、虎の悪しき歴史に終止符を打ってほしい――私は切に祈りながら、佐藤輝の成績を日々チェックしている。
しかし、少し複雑なのは、その記念すべき存在が4番の大山悠輔ではない、ということだ。今季の大山は途中で故障離脱した影響もあり、まだ8本塁打。このままでは20本にも届かない。昨年の活躍を考えると、今年は大きな飛躍がかかった重要なシーズンだと思うのだが、今は佐藤輝に主役の座を奪われつつある。
大山は佐藤輝と同じドラフト1位だが、当時は「2位でも取れた」と揶揄されるなど、決して佐藤輝のような鳴り物入りではなかった。それが本人の努力と球団の育成によって少しずつ成長し、数年を経てようやく4番の称号をつかんだ選手だ。