格下ペアとの準決勝前夜はプレッシャーから呼吸困難に陥った
大会前の下馬評で上位候補だった4組が失格になったとはいえ、金メダルを有力視された世界ランキング1位の中国ペアとはもともと、決勝トーナメント(T)で別の山でした。私たちには影響がないだろうと考えていました。
そもそもロンドン五輪で上位進出を目標としていたわけではなく、強豪ペアが一気に大会を去っても「メダルに近づいた」なんて意識はみじんもありませんでした。
当時は今ほどインターネットやSNSが普及しておらず、五輪の試合もネットのストリーミング映像で見ることもできませんでした。情報が錯綜していたこともあり、決勝Tでの対戦相手のことを考える余裕すらなかった。
私と令佳が動揺していることを見かねたのでしょう。女子ダブルスコーチの中島慶さんから「自分たちのことだけね、自分たちに集中して」と、声を掛けられました。
決勝T1回戦の相手はリターユヒル、ペデルセン組(デンマーク)。2016年リオ五輪決勝でタカマツペア(高橋、松友)が破った相手です。私たちは、このデンマーク組との相性は良くありませんでした。11年3月の全英オープン2回戦では2―1で取りましたが、他の3試合はいずれもストレート負けと分が悪かった。しかも、1次リーグでは後に私たちが決勝で敗れる田卿、趙蕓蕾の中国ペアをストレートで下して勝ち上がってきました。