巨人の中田翔獲得を優勝争う阪神とヤクルトが脅威に感じていないと思う根拠
横浜(現DeNA)のコーチ、監督を務めた90年代後半、毎年のように大補強を繰り返す巨人に対して、チームには「負けてたまるか」という思いがあった。当時の球団社長で切れ者だった大堀隆さんですら「戦略も品もない、あるのはカネだけというチームには、順位でも対戦成績でも負けるな」と時に感情的になって選手にハッパをかけていたほどだ。
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果たして今はどうだろう。巨人が日本ハムから中田翔を無償トレードで獲得した。トラブルを起こしてしまった主砲に野球を続けさせる道を模索した日本ハムと、そこへ救いの手を差し伸べた巨人。そんな美談仕立てになっているが、優勝を争う阪神とヤクルトは案外、冷静に見ているのではないか。
■ヤクルト高津監督の手腕を評価したい
首位の阪神は、投打に戦力が充実している。前半戦で3番を打ったマルテが一軍枠からあぶれるほど打線は強力で、チーム防御率リーグ2位の投手力はもともといい。ヤクルトの打線は阪神以上の破壊力があり、最大の課題だった投手陣も形になってきた。抑えにマクガフを回し、七回からの3イニングにある程度の計算が立つようになったのは何より大きい。リリーフ出身の高津監督の手腕を評価したい。阪神は梅野、ヤクルトは中村と正捕手がどっしり構えているのも、シーズンを制するうえで大きなプラス材料とみている。