新商品「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」にみる大リーグの商魂
だが、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、20年に予定されていた試合は中止を余儀なくされている。計画は2年越しで実現したのだから、注目と期待が高まるのも当然だった。
さらに、大リーグ公式ウェブサイトや各種のSNSを通じて試合の宣伝を行い、前日には映画に主演したケビン・コスナーも登場する特別映像を公開するなど、機構側も人々の関心を集めるための工夫に余念がなかった。
こうした状況を考えれば、映画で撮影された球場が本塁から外野までの距離が大リーグの規格に合わないため公式戦には使用できず、約500万ドル(約5億5000万円)をかけてコミスキーパークに模した仮設球場を建てた機構も、投資額以上の見返りを得たと言えるだろう。
■スキャンダルには目をつむり
周知の通り、映画は1919年のワールドシリーズで起きたホワイトソックスの選手たちによる八百長問題(ブラックソックス事件)を背景としている。ブラックソックス事件が、8人の選手が永久追放処分となるなど球界を揺るがしたことを考えれば、機構は過去の醜聞には目をつむり、映画の郷愁的な要素のみを都合よく取り出して新たな商品を生み出したとも考えられる。