鈴木誠也に「100億円契約」の重圧…いつの間にやら膨れ上がった相場とその評価

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 今オフ、ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す日本人外野手を巡って「場外戦」が展開されている。

 新労使協定が合意に達せず、全ての契約交渉を禁止するロックアウトに入り、中ぶらりんであるはずの鈴木誠也(27)のことだ。

 今夏の東京五輪では日本の4番を務め、金メダル獲得に貢献。その鈴木は早くからメジャー球団の注目を集めていた。代理人を務めるジョエル・ウルフ氏は11月下旬にオンライン会見した際、「興味を持っているのは8球団以上15球団未満」と、メジャーの半数近いチームと接触を図ったことを明かしている。

■ワールドシリーズ覇者が撤退

 当初、複数の米メディアはマリナーズ、レンジャーズ、ジャイアンツ、パドレスなど西海岸を本拠地とする球団が獲得に乗り出すと予想していたが、ロックアウトに突入した途端、なぜか東海岸の球団も加わった。

 米メディアの報道を総合すると、ヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズのア・リーグ東地区の金満球団が鈴木争奪戦に加わったことで、市場価値は右肩上がりで高騰。カナダのメディア「スポーツネット」(電子版)は日本時間9日、鈴木の契約を総額55億円規模と予想していたが、ここにきて状況が変化した。獲得に乗り出すとみられていたブレーブスの地元アトランタのニュースサイト「スポーツトークATL」が、鈴木は100億円規模の契約を希望していると伝えたうえで、「これはブ軍が喜んで食いつくような金額ではない」と、今季ワールドシリーズを制したチームが撤退を余儀なくされたと報じている。いつの間にやら50億円といわれた相場は、一気に倍の100億円に膨らんでいるのだ。

遊撃や三塁も守れる

 金額だけではない。米スポーツメディア「the Score」によれば、鈴木獲得に動いているジャイアンツとマリナーズは、鈴木を内野のオプションとしてみている可能性があるそうだ。「この27歳は好みのポジションである右翼に加え、遊撃、三塁の経験もある」と報じた。本職の外野だけでなく、内野手としての起用についてもあり得るとしている。

 鈴木が遊撃を経験したのは、主に二軍にいた入団2年目まで。本人は遊撃に関して、「正直、通用しないという思いがあった」と当時を振り返っている。一軍の公式戦では1試合も実戦経験のない遊撃や三塁をいきなりメジャーで守るのは、さすがに無理があるというものだ。

■「日本のトラウト」

 ヤンキースの専門メディア「Bronx Pinstripes」は、現在のチームの課題は三振の多さ、パワーヒッターばかり、スピード不足だと指摘。鈴木を「日本のマイク・トラウト」と形容したうえで、「獲得すればすべての問題を解決できる」と報じている。

 トラウトといえば、エンゼルス・大谷の同僚でメジャーナンバーワンのスラッガー。過去にMVPを3度受賞、盗塁王も獲得し、走攻守と三拍子揃った外野手で、年俸は40億円近い。鈴木も打って守って走れる外野手には違いないものの、いまやメジャーを代表する野手にたとえられるほどその評価は独り歩きしている。

 さるア・リーグの関係者がこう続ける。

「当初は西海岸のチームによる争奪戦の様相だったのが、東海岸の老舗名門球団であるヤンキースとレッドソックスが加わったことで相場が一気にハネ上がった。西海岸のマリナーズやジャイアンツが外野だけでなく遊撃や三塁も守れるというのは、それだけ能力が高い選手として評価していると言いたいからで、東海岸の金満2球団に負けじと鈴木に秋波を送っているのでしょう。ヤンキースが目の色を変えている現状を考慮すれば、年俸と契約金の総額は本当に100億円を超えるかもしれません」

 ロックアウト期間中はメジャーのすべての移籍交渉が棚上げされるはずだ。しかし、鈴木の相場やその評価は、いつの間にやらうなぎ上り。「日本のトラウト」だから獲得には100億円が必要といったあんばいになっている。あるいは水面下で密かに、交渉が行われているのかどうか。

 いずれにせよ、メジャーでまだ一度もプレーしたことのない鈴木にとって、大きなプレッシャーになることは間違いない。

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