関脇・御嶽海が無傷8連勝で給金 大関ダメダメの初場所は“狼少年”に期待するしかないのか

公開日: 更新日:

貴景勝は休場、正代はすでに4敗

 期待していいものなのか。本当に期待するしかないのか。

 横綱照ノ富士(30)が関脇御嶽海(29)を星の差1つで追う大相撲。16日は御嶽海が初日から8連勝でストレート給金を決めれば、横綱も結びで圧勝。差が縮まることも広がることもなかった。

【写真】この記事の関連写真を見る(08枚)

 現在の大相撲は2連覇中の照ノ富士が頭ひとつもふたつも抜け出ている。優勝争いの下馬評でもダントツ。本来、横綱を止めるべき大関が完全に圏外なのだから、むべなるかな、だ。

 とにかく今の2大関は大関としての体をなしていない。

 貴景勝は3日目の宇良戦で右足首を負傷し、4日目から休場。16日の時点で、来場所は自身5度目のカド番が決まった。ケガが多く、大関に昇進した2019年5月場所以降だけでも、負傷休場は6回。八角理事長(元横綱北勝海)も報道陣に「この1年で(休場は)何度目?」と“逆質問”するほど呆れ返っている。

 正代(30)はこの日、苦戦しながらも遠藤を下したものの、3勝4敗が4勝4敗になっただけ。とっくに優勝争いからは脱落している。貴景勝と異なりケガは少ないが、大関在位7場所でカド番は2回。2ケタ勝利はたったの1回だけだ。賜杯どうこうではなく、「勝ち越せるか否か」しか話題にならない。

 もはや2大関に期待するだけ無駄といっても過言ではない。となれば、御嶽海が大関に昇進するのを待つしかないのか。

 大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。御嶽海は直近2場所で20勝している。ただ、先々場所が9勝止まりだったのも事実。1ケタ勝利の場合は大関とりの起点と見なされないことが多い。

 大関に求められるのは安定した成績なので、精神面も重要になる。まず三役で2ケタ勝ち、徐々に大関とりの機運を高め、最後の3場所目で好成績を叩き出す。場所前からのしかかるプレッシャーに打ち勝ってこそ、というわけだ。

現役親方は「期待しません」と諦め口調

 実際、今場所は御嶽海の大関とりはほとんど話題になっていない。報道陣に質問された伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)も、「全勝優勝すれば、そういう話になるんじゃないですか」と話していた。暗に「今場所はその時じゃない」と言っているようなものだ。

「逆に言えば、全勝Vなら功績を認めないわけにはいかないでしょう。そうでなくとも、例えば照ノ富士を倒して賜杯を掴めば、星数と内容次第で昇進の可能性はある。昇進が流れたとしても、今場所好成績を上げればその分、来場所昇進のハードルは下がります」(角界OB)

 だがしかし、御嶽海ほど周囲の期待を裏切る力士もそうはいない。

 優勝を2度経験しながら、成績が不安定。この日、中継の解説を務めた中村親方(元関脇嘉風)も「期待しすぎると裏切る。だから期待しません」と、半ば諦めた口調だった。

 尾車親方(元大関琴風)も評論家を務めるスポーツ紙で、「御嶽海は必ず気持ちが抜けた相撲が出る。勝てる相手につまらない相撲で負ける」と嘆いていたほどだ。

 間垣親方(元横綱白鵬)も、かつて中継の解説をした際、「稽古嫌いと聞いていますね。もっと稽古をすれば、好調も長く続くと思う」と話していた。

「この日の大栄翔戦は見事のひと言。速射砲のような突っ張り、ノド輪を耐え抜き、根負けした大栄翔の引き技にすかさず反応して押し出した。ただ、この集中力がいつ途切れてもおかしくないのが御嶽海という力士。格上には強くても、尾車親方の言うように、明らかに力量差のある格下にころっと負けるケースも多い。明日以降、立ち合いから電車道であっさり負けたとしても、特に驚きませんね」(ある親方)

 期待するたびに裏切られ、それでも期待せざるを得ない厄介な力士。せめて2大関が地位にふさわしい成績を残していれば、御嶽海の相撲に一喜一憂させられることもないのだが……。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド