ペナントレース終盤の戦い方 今はアクセルを踏むのはまだ早い
分業制が定着する何十年も前に、「勝敗を左右するのは、ゲーム終盤の投手起用」と喝破する。いかに試合を締めくくるか。そこに注力するということは、中継ぎ、先発と逆算し、投手陣全体の起用を考えるということでもある。投手コーチ、監督として私がリリーフの重要性を説き続けているのは、振り返ればブレイザーの一言が起点のひとつになっているのだ。
今、プロ野球のペナントレースは、残り40試合前後に差し掛かった。5位までがダンゴ状態のパ・リーグはもちろん、ヤクルトが独走するセ・リーグでも、各球団がラストスパートとばかりにムチを入れ始めている。私に言わせれば、アクセルを踏むのはまだ早い。
選手を無酸素運動のように走らせても、持つのはせいぜい15試合から20試合。精神的にも肉体的にも、それが限界だ。早すぎるムチは、選手を息切れさせる。従って、CS争いも含め、本当の勝負は残り30、いや、20試合になってからだ。
横浜(現DeNA)を率いてリーグ優勝した1998年、開幕前にストッパーの大魔神・佐々木主浩を呼び、「おまえを使うのは、セーブのつく試合の1イニングのみ。これは絶対に守るから、残り20試合を切ったらオレに任せて欲しい。そこからは、八回からでもいってもらう」と言ったのを思い出す。
試合終盤の投手起用で確実に勝利をものにするため、いかに投手の余力を残して本当のラストスパートに備えるか。それが監督の仕事であり、腕の見せどころ。2005年に亡くなったブレイザーもそう言うと思う。