高松商・浅野翔吾をドラ1候補に育てた「涙の日々」 精神面でも評価、父は徳島商の元球児
今大会でもっとも注目された選手といえば、ベスト8で散った高松商(香川)の中堅手・浅野翔吾だろう。
主将として「全打席出塁」をテーマに臨み、10打数7安打、3本塁打、5四死球、2盗塁をマーク。ネット裏のスカウトは「打撃はもちろん、肩が強く、足も速い。ドラフト1位候補」と口をそろえる。
打撃の技術だけでなく、「ベンチから声を出してチームを鼓舞する姿などから、強いリーダーシップを感じた」(オリックスのスカウトグループ長の山口和男氏)と言うように、精神面も高く評価されている。
心技体がそろった強打者はどのように育ったのか。浅野が小学生時代に所属した屋島シーホークスの当時の関係者が言う。
「お父さんは徳島商の元球児、翔吾の6年時にはチームの監督を務めていました。人当たりのいい方ですが、翔吾の指導には厳しかった。練習開始時刻にグラウンドに着くと、お父さんに叱られた後なのか、泣きながら練習している翔吾の姿を何度か見たことがある。お母さんは物腰柔らかく、試合中はワーワー応援せず、静かに見守るタイプだった。はたから見て、うまくバランスが取れたご家族だったと思います」
中学時代には複数の野球強豪校から声が掛かったが、「地元志向を持つお父さんの意向もあり」(同クラブ元監督の森本哲史氏)、高松商へ進学。高校最後の年は四国のどの学校よりも長い夏を送り、プロからはどの球児よりも熱い視線を浴びた。その裏には多くの涙があったようなのだ。