横浜での最後の試合で胴上げ直後、「社長が呼んでいます」とマネジャーがすっ飛んできた
私は前日からの経緯をすべて話した。黙って聞いていた大堀社長は私の話が終わると、「申し訳ない」と、頭を下げてくれた。
私が構想外ということを知らなかったのか、あるいは知っていても最終戦の前に通告すべきではないと思っていたのか。いずれにせよ、こういう形でユニホームを脱ぐことになってしまったわけだから、それでも横浜に残る場合には何らかのポストを考えようと言ってくれた。
私はしかし、「ありがたいお話ですけど、それは結構です」と、その場で丁重に断った。まだ横浜から構想外と言われたばかり。シーズン後半に結果が出ただけに、横浜以外の球団で現役を模索したいと考えていたからだ。大堀社長は、それならば球団を探すし、協力は惜しまないと言ってくれた。
実際、私に興味をもってくれた球団も中にはあった。それだけにトライアウトも受けなかったけれども、36歳という年齢がネックで話は立ち消えになった。
■巨人の銀座のパレードの直後
その後、「オファーはありましたか?」「いや、ないんです」といった大堀社長とのやりとりの中で、経営者があと1年、頑張ろうと思っている選手と契約するケースはまれ、常勝球団をつくりたければ2、3年働ける人と1年契約を結ぶといった趣旨の話をいただいた。