株式会社BIG UNIT社長 橋本太郎(1)目標があったから乗り越えられた飲食店アルバイトでの葛藤
戦力外を告げられた08年にトライアウトを受験するも、NPBの球団からは打撃投手としてのオファーしかこなかった。少し心が揺らいだが、「ライバル球団のお手伝いさんにはなれない」と固辞。社会人や独立リーグからの誘いも断った。
「プロになるまで何十万回も野球をやめたいと思っていましたが(笑)、プロという目標があったから耐えられたんです。打撃投手や社会人、独立リーグでは何を目標にすればいいのかビジョンが見えなかった。新たな人生を歩むためには、確固たる目標が必要だと痛感しました」
考え抜いた末、自分の会社をつくることを目標にした。引退して間もなく、イスラエル発のコスメブランド「SABON(サボン)」の日本法人を立ち上げ、飲食チェーンなどを手掛ける黒石和宏社長から「ウチへ来ないか」と声をかけられた。
とんとん拍子で話が進み、同年暮れから黒石社長が経営するコラーゲン鍋の専門店「ハレノヒ西麻布店」でアルバイトを始めた。南麻布に借りたアパートは家賃9万円で「めちゃくちゃ狭かった」。現役時代に買った車は父に譲った。