秋春制に変わったACLスタート 初戦はホームで浦和とドローも、守備には手応え
中国のチームに関わりながら日本のチームと対戦するのは夢だった
さて――日本の報道によると「浦和の選手が武漢を田舎扱いしたので中国人が怒っている」という話を聞きました。ただ私の周りでは話題になっていませんでした。浦和戦の試合会場に「海が泣いている」と処理水放出に対する非難と思われる幕が掲出された、と日本の知人から聞かされました。
ですが、サポーター席がベンチから遠くて見えづらかったことに加え、国内では話題になっておらず、これについては「何も分かりません」というのが正直なところです。
私にとっては、中国のチームに関わりながら、日本のチームと対戦するというのは、大きな夢のひとつでした。
もちろん欲を言えば古巣である鹿島アントラーズと対戦したかったと思いますし、高畠勉監督もかつて率いていた川崎フロンターレと試合をしたかったでしょう。
ですが、アジアを代表するビッグクラブの浦和と対戦できることは、もちろん大きな喜びでもあります。ACLを通して日本と中国の友好関係が発展していくことを心から願っています。
ところで――。
ACLが今大会から「秋(開幕)-(翌)春(閉幕)制」に変わりました。
日本のように「春-秋制」のリーグの場合、グループリーグを戦うチームとノックアウトステージで戦うチームは、それぞれ別のシーズンでの選手編成になってしまいます。
そういった点も踏まえながら、日本ではリーグ戦を「秋-春制」にすべきか、という議論が進んでいると聞きました。
中国も、日本と同様に「春-秋制」です。
今の日本で起きている問題が当然、生じてきます。
それでは中国はどうしようとしているか……実のところ、何か議論が重ねられているという話は一切聞こえてきません。
取り敢えず目の前の試合に向けてベストの準備をしようといった感じです。何か問題が起きた時に具体的な対策案を考えればいいじゃないか、という感じに見えます。
日本から見たら「本当にそれでいいのか?」と不安になるかもしれません。
しかしながら、これこそが「まさに中国流」と言っていいと思います。
問題が起きると「上」が善後策を講じ、上意下達で一気に解決に向かって動いていきます。
強引に見えることもあり、混乱が生じることもありますが、それなりに変化にきっちりと対応できるのですぐに上手くいくのです。
このダイナミックな臨機応変さが、中国の魅力とも言えるでしょう。
現地で暮らしていると、この国の底力を感じさせられます。 (つづく)
(取材・構成=森雅史/サッカージャーナリスト)