中国のサッカーバブルは完全崩壊 “金満国家”サウジ主導の選手爆買いには太刀打ちできず
武漢編(3)
2022年の中国超級(1部)リーグ王者の「武漢三鎮足球倶楽部(ホーム・湖北省武漢市)」でヘッドコーチとして働くようになって4カ月。
今季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場の3位以内に入れるように高畠勉監督以下、チーム全員が一丸となって戦っています。
中国で初めてコーチになったのは21年2月。山東泰山足球倶楽部(ホーム・山東省済南市)」のヘッドコーチでした。
ちょうど新型コロナウイルスの猛威をふるっている時期でしたが、それでも国内2カ所での集中開催を決め、リーグ戦を敢行したパワーには驚きました。
その当時、中国ではサッカーバブルが弾けようとしていた時期でもありましたが、まだほんのりと残り香は漂っていました。
2012年以降、中国のサッカーバブルは世界を席巻していました。
アルゼンチン代表のラベッシの年俸は約60億円、ブラジル代表のオスカルは約40億円、イタリアのリッピ監督の年俸は、約23億円と言われていました。
川崎や東京Vで活躍したブラジル代表のフッキは移籍金68億円、年俸約24億円と言われて「大金を稼ごうと思うのなら中国のクラブに移籍する」のが一般的だったのです。
2021年に中国に来た頃を思うと今はすっかり情勢が変わりました。
まず、新型コロナウイルスはもう誰も気にしなくなりました。2022年12月7日、いきなり多くの制限が撤廃されるとあっという間に日常的な生活が戻っています。
そしてもうひとつ、中国のサッカーバブルはすっかり影を潜めてしまいました。
高騰する一方の年俸に中国サッカー協会が危機感を募らせて引き締め政策を図ったことと、中国の不動産バブルが完全に崩壊してしまったことが要因です。