小久保新監督にできるかソフトB再建 7選手クビで支配枠空けても、今オフ大補強なら育成停滞
来季の優勝を目指すなら補強は最適解だが…
前出の球団OBは「多少強引でもチーム内の新陳代謝を図ったのでは」と、こう続ける。
「選手個々に見れば、それぞれの問題はある。森は今季から先発転向したが、悪戦苦闘。上林や高橋はケガが多く、嘉弥真も今季は23試合と不調にあえいでおり、6年連続50試合登板も途切れた。彼らの復調や覚醒を待っていたのでは、いつまで経っても支配下枠に空きが出ないし、若手の育成にも支障が出る。特に森のような功労者は、小久保監督もムゲには出来ず、チャンスを与え続けざるを得ない。今回7人を戦力外にしたのは、選手起用や育成のマイナスになる部分をバッサリやることで、小久保監督が采配を振りやすくするのが目的でしょう」
だがしかし、それで勝てるようになるかと言えば、話は別だ。ソフトバンクは「育成と補強」の両輪でチーム作りを進めると言いつつも、孫オーナーから優勝を厳命され、毎年のように大型補強を行ってきたチーム。昨オフも前年2位から巻き返しを図るべく、前日本ハムの近藤やメジャー帰りの有原ら、総額80億円といわれる空前絶後の大補強を敢行。それでも優勝したオリックスに15.5ゲーム差も離され、3位に終わった。
今オフはさらなる補強をするともっぱらで、すでにDeNAのバウアーや石田、西武の山川、オリックスの山崎福ら、助っ人やFA宣言の可能性のある選手の調査を行っているという。特にパで唯一の規定投球回到達者ゼロだった先発と、デスパイネら4選手を合わせて1本塁打、5打点だった助っ人の補強が急務というのが球団の認識だ。
「来季の優勝を目指すなら最適解だが、その先はどうなるのか。かつては今のオリックスのように、自前で若手を育て、それでも足りない分をよそから持ってくるスタンスだった。しかし、近年は主力が固定化された上に高齢化が進み、彼らの穴埋めを補強で済ませている。これが育成の足かせとなって若手の起用が減り、台頭する生え抜きも年々減少。森や上林らを放出したところで、またぞろ補強、補強では新陳代謝のサイクルは生じない。これまで以上に補強に力を注ぐようなら、むしろ小久保監督にとってマイナスとなりかねない」
孫オーナーが直々に「2、3年は育成に専念してくれ」とでも言わない限り、誰が監督をやってもソフトバンクの問題は解決しない。