プロ野球「ドラフト指名権譲渡」導入の可能性は…ソフトB和田毅「FA人的補償」問題で再燃
「獲得する側は補償がない方がいいに決まっているが、それだと取られる側は損するだけ。ソフトバンクなどの資金力がある球団は賛成しても、西武のようなFAで選手が出ていくことが多い球団は反対するしかない」
■MLBでは導入済み
そんな中、かねて新たな補償案として浮上しているのが「ドラフト指名権の譲渡」だ。
MLBでは戦力均衡の観点から、選手がFA移籍した球団は、移籍先球団から翌年ドラフトの上位指名権を得られる。
「とはいえ、実現する可能性は低い」と言うのは、前出の球団関係者。
「ドラフト指名権譲渡が導入されれば新たな問題が生じます。メジャーでは2019年、FA市場の目玉だったキンブレルとカイケルの移籍が6月までズレ込んだ。各球団がドラフト指名権の譲渡を嫌い、ドラフト会議終了まで獲得に動かなかったからです。ドラフト指名権は各球団にとって、それくらい重要なもの。日本はFA市場が小さい上に、米国以上にドラフトを編成の肝にしている。獲得する側としても28人のプロテクト外の選手を放出するならまだしも、翌年のドラ1が取れないリスクは大きい。結果的に、選手が自ら移籍を選択できる機会は今以上に減りかねません」
いずれにせよ、FA制度の仕組みが過渡期に差し掛かっているのは間違いない。