《うまくいけば来年》Sバンタム級統一王者・井上尚弥「日本人と100億円マッチ」に現実味
伝説の「薬師寺vs辰吉」をはるかにしのぐドリームマッチに
過去、「日本ボクシング史上最大の興行」として今もなお語り継がれているのが、1994年に名古屋で行われた薬師寺保栄vs辰吉丈一郎のWBCバンタム級王座統一戦だ。人気絶頂の日本人ボクサー同士の世界戦は、TBS系列の中部日本放送が生中継し、辰吉のファイトマネーが当時としては超破格の1億7000万円であることも話題になった。視聴率も東海地方50%超、関西地方40%超、関東地方40%弱と、社会現象にもなったほどだ。
アラム氏いわく「世界のボクシングの顔」となった井上のファイトマネーは、前回5月のネリ戦時点で10億円を突破。大橋ジムの大橋会長も「(金額の)ケタというか、過去最高」と認めている。
この日のドヘニー戦では、さらに増えたともっぱらで、今回のイベントでは、PRだけでも10億円が投じられたというのだから、さもありなん、だろう。
元日本ボクシングコミッション事務局長で、3万マッチを裁いたレフェリーの森田健氏が言う。
「私は辰吉の試合を何試合か裁いたことがあるが、常に満員だった印象がありますね。強い上に、果敢に打ち合うから試合が盛り上がる。当時のファイトマネーは、王者であってもチケットをボクサー本人に手渡しするという形がほとんど。自分で売り、お金に換えるが、辰吉レベルとなると売れ行きも良かった。テレビ局もお金がまだまだあった時代です。でも、今はインターネット配信で世界中のボクシングファンが観戦できるようになった。日本国内だけで放送していた時代と比べ、井上のようなボクサーのファイトマネーが何倍、何十倍となっても不思議ではありませんよ」
森田氏が言うように、強大な配信ビジネスのバックアップを受ける現在は、興行規模もケタ違い。日本人ボクサー同士の世界戦のファイトマネーは、今も辰吉の1億7000万円が最高額とされるが、“モンスター”と称される井上と“ネクストモンスター”と呼ばれる中谷との一戦が実現すれば、伝説の薬師寺vs辰吉をはるかにしのぐドリームマッチになるのは確実だ。
「ファイトマネーだけでも2人合わせて数十億円になるのは間違いない。興行規模は3ケタを超えるでしょう」とはボクシング関係者。井上も試合後、「こうしてLemino(この日配信を行った、NTTドコモが提供する動画配信サービス)で見てくれて、僕はボクシングができると思う」と、ヨイショを忘れなかった。
モンスターとネクストモンスターの100億円マッチが現実味を帯びてきた。
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日刊ゲンダイは以前、「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」(講談社)の著者・森合正範氏をインタビュー。森合氏は「記者として絶望感、敗北感を感じたのは初めて」と語っていた。いったいなぜか。何があったのか。
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