大谷の大活躍の根底には西海岸の風土《イライラしているヤツなんてひとりもいない》
矢面に立たされるリスクを排除
松井秀喜もヤンキース1年目はニューヨークのメディアに「ゴロキング」と揶揄され、前出のスタインブレナー・オーナーからは「こんなにパワーのない選手と契約した覚えはない」とこき下ろされた。
トーリはメッツで1977~81年、ヤンキースで96~07年にニューヨークで指揮を執り、翌08年からドジャースの監督を務めた。
ハイウエーシリーズの感想を口にしたのは全米一シビアなニューヨークからカリフォルニアに来て3年目。西海岸の穏やかさ、緩さを体感したうえでの落差が「イライラしてるヤツなんてひとりもいない」という発言につながったのだ。
大谷がメジャー挑戦するにあたって、エンゼルスを選んだ大きな理由は投打の二刀流に制限がなかったからだといわれている。
何しろ、かのベーブ・ルース以来の投打の二刀流だ。大谷のポテンシャルの高さは認めても、投げるのも打つのも好きなようにどうぞと言った球団はほとんどなかったともいわれる。日本でプレーしていたときから獲得に熱心だったドジャースですら、当時は二刀流を無条件で認めたわけではないという話がある。
実際、エンゼルスでは球団もファンもメディアも寛容だった。そうやって投打とも長い目で認めてもらったがゆえに二刀流は開花したし、しゃべらなくても地元メディアが問題視することも、声を荒らげることもなかった。昨オフ、FAで移籍先を選んだのも同じロスを本拠地にするドジャースだった。
投打の二刀流という人がやらないことをやりたい大谷は、ときとして波紋を呼ぶ。手術明けで投手としてリハビリ中の今季は、主力野手が休養するためのポジションでもあるDHを独占している。スター軍団の中でも打って走って飛び抜けた数字を残しているだけに雑音は生じないが、「イライラしてるヤツなんてひとりもいない」カリフォルニアでプレー。結果次第で矢面に立たされるリスクを極力、排除したことも、メジャーで順調に階段を上がれた大きな理由だろう。
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大谷ファンの審判も少なくない。実は、彼らによって大谷は「助けられている」という。いったいどういうことなのか。
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