大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ
ドジャース・大谷翔平(30)が大台に迫った。
本塁打、盗塁とも、残り「2」として迎えた日本時間19日のマーリンズ戦。初回に相手の先発左腕ウェザーズから左前打を放って出塁すると、次打者ベッツの初球に盗塁を決めて「48-49」(48本塁打、49盗塁)とし、メジャー史上初の「50-50」にまずは盗塁で王手をかけた。
ドジャースはこの日を含めて残り11試合。目前に迫っているメジャー史上初の「50-50」の偉業達成は間違いなさそうだが、問題は大谷のポストシーズンでのパフォーマンスだ。
メジャーでは過去にエポックメーキング(歴史的)な偉業を成し遂げた選手はポストシーズンでサッパリというケースが少なくないからだ。
最近の例でいえば、2022年にア・リーグシーズン最多本塁打記録を更新する62発を放ったヤンキースのアーロン・ジャッジ。当時、エンゼルスに所属していた大谷との本塁打王争いを制し、ポストシーズンでの活躍を期待されながら、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズは計36打数5安打の打率.139、2本塁打、3打点。主砲のバットから快音が響かなかったこともあり、チームはアストロズに4連敗を喫し、09年以来13年ぶりのワールドシリーズ進出を逃した。
三冠王も別人のように不振に陥った。タイガースのミゲル・カブレラは12年、レッドソックスのカール・ヤストレムスキー(1967年)以来45年ぶりのトリプルクラウンを成し遂げた。チームの2年連続地区優勝に貢献したが、ワールドシリーズを含む13試合で打率.265、2本塁打、8打点。三冠王にしては物足りない結果に終わった。
日本人選手も例外ではない。メジャー1年目の2001年に首位打者(.350)、盗塁王(56個)を獲得し、新人最多安打(242)をマークしたマリナーズのイチローは地区シリーズこそ打率6割をマーク。ルーキーながら安打製造機として、チームを牽引したが、リーグ優勝決定シリーズでは打率.222、4三振。チームは2年連続でヤンキースにワールドシリーズ進出を阻まれた。
大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。
「歴史的な快挙を成し遂げた選手の多くはレギュラーシーズン中、ファンやメディアの注目を浴びて過度なプレッシャーにさらされている。記録達成や更新から解放されれば、抜け殻のような状態になるのは想像に難くありません。そこに1年間の疲労も重なり、相手バッテリーのマークも厳しくなるだけに、レギュラーシーズンのようにハイパフォーマンスを発揮できないのではないか。前人未到の『50-50』達成が濃厚な大谷にしても、ポストシーズンでは期待通りの活躍ができない懸念はあります」