「批判」と「誹謗中傷」を一緒くた…J1町田の刑事告訴に見える藤田晋オーナーの「雀士」の顔
■「理想」は邪魔
サッカーメディア関係者はそう指摘すると、こうも付け加えた。
「藤田社長は若い頃、麻雀をはじめとするギャンブラーでならした人です。ギャンブラーには、『理想』など勝負の邪魔。今、Jリーグの強豪チームは海外に次々と人材を引き抜かれて、理想とされてきた欧州のビッグクラブのような華麗なポゼッションサッカーが不可能になってきた。だから川崎フロンターレや横浜F・マリノスが見る影もなくなっている。藤田社長は今こそリアリズムで勝負するときと思っているのではないでしょうか」
青森山田高を率いて負けたらそれで終わりの高校サッカー選手権で実績を残してきた黒田剛監督を起用し、ファンの批判も馬耳東風、ルールぎりぎりで勝負に徹する。それは藤田社長のフィロソフィーでもメソッドでもあるのだろう。
FC町田ゼルビアは、J1リーグに初昇格の今シーズンは首位を快走。だが、夏場になると徐々に順位を下げ、現在は首位争いから脱落しかかっている。ここが正念場と、藤田氏は批判を封印し、優勝争いを続けるためのムチを入れた。FC町田ゼルビアの「誹謗中傷」への刑事告訴は、そのようなピッチ外での勝負でもあると、関係者には見られている。
(清義明/ルポライター)
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