《佐々木誠の巻》細かい気遣いと面倒見の良さが随一の兄貴分…首位打者争いでは逆に僕が気負って円形脱毛症になった
しかもその翌日、「遊んだ翌日こそ仕事をしなければ」とグラウンドに向かった僕は、打撃投手の先輩である松浦正さんにこう言われました。「今日からちょっと休め。肘が悪いんやろ。誠から聞いてるぞ」。そうした気遣いができる人なんです。
誠さんが首位打者を獲得した1992年には、逆に僕が気を使うあまり、円形脱毛症になってしまったこともあります。なんとか首位打者のタイトルを取ってほしい、投げミスだけは避けよう、いいコースに投げようと気負うあまり、ストレスになっていたんです。
誠さんには黙っていましたが、お見通しだったんでしょうね。
「お互い調子が悪くなるのはいかんけんさ、今日はいいぜ。2、3球打ったらやめよう。俺も調子落としたくないからさ」
そう言われた時、僕は心中複雑でした。打撃投手としての役割を果たせず、「クソ!」と思う気持ちと、「ズバッと言ってくれて良かった」という気持ち。結局、最終的には感謝の気持ちが強く残りました。僕にとってはそんな兄貴分的な存在でした。
次回は「ヒゲのエース」こと山内孝徳さんにアドバイスされた話をしましょう。