巨人元オーナー渡辺恒雄氏が死去…記者が見た強烈威光 その瞬間、読売関係者が道路の真ん中で大の字に
読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が19日午前2時、都内の病院で死去した。98歳。政治記者として培った幅広い人脈で政財界に強い影響力を保持し、巨人のオーナーとしてプロ野球界、スポーツ界にも強力な発言力を誇った。
30年以上も巨大メディアグループのトップに君臨し、袂を分かった巨人元球団代表の清武英利氏によれば、「最後の独裁者」を自称。読売内における、その強烈な威光をまざまざと見せつけたことがある。
あれは、近鉄とオリックスの合併が表面化したことに端を発する、球界再編騒動が起きた2004年。当時巨人オーナーだった渡辺氏は10球団による1リーグ制への移行を主導し、12球団維持を希望する選手会と激しく対立した。有名な「たかが選手が」の発言が飛び出すなど、球界再編のキーマンとして、メディアは連日、渡辺オーナーの動静を追った。
東京・大手町の読売本社ビルからナンバー「1000」の専用車に乗って出てくる渡辺オーナーを待ち受け、新聞・テレビ各社がハイヤーやタクシー、バイクで追跡。カーチェイスを繰り広げるのが日常だったが、その最中のことである。
専用車が駐車場から出てきた直後、ひとりの読売関係者が車道に飛び出し、道路の真ん中で大の字に寝転んだのだ。