「がんで死なない治療の選択」阿部博幸著
がん治療における「樹状細胞ワクチン」研究の第一人者が、がん発生の仕組みなどの基礎から、最新のがん治療までを詳述する本書。
細胞には本来アポトーシス(自然死)という仕組みがあるが、がん細胞にはそれがなく、いつまでも生きて増え続ける。このがん細胞をピンポイントで攻撃してアポトーシスに導くのが、樹状細胞だという。もともと体内にある免疫細胞のひとつだが、白血球の0・1%と非常に少ない。
著者は、患者から採血した25ミリリットルの血液から単球という白血球の一種を取り出し、培養して未熟な樹状細胞を作りだし、がんの目印を取り込ませることでワクチンを製造。肺がんで22例中15例など、樹状細胞ワクチンの成果についても解説していく。
(徳間書店 1500円)