「山水の飄客前田普羅」正津勉著

公開日: 更新日:

 明治生まれの俳人、前田普羅は13歳のとき、両親が台湾に渡ったため、親戚に預けられる。母は3年後に死亡、寂しい少年時代を送った普羅は、俳句を詠むようになった。

 俳句を詠んでいると、山中を歩くときに何かを与えられるのと同じような境地になれた。やがて志賀重昂の「日本風景論」に出合い、山へ行くようになる。だが、頂に登るのでなく、甲斐の渓谷を歩いた。〈春尽きて山みな甲斐に走りけり〉。彼は人の世をのがれて山に行くのではなく、「人の中にモッと、安住の地を探す」ために渓谷を散策したのだ。

 高浜虚子の弟子であり、山岳俳句の第一人者だった前田普羅の作品の世界に迫る。(アーツアンドクラフツ 1800円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる