「日本刀の科学」臺丸谷政志著
独自の形態と機能美を備えたわが国特有の武器である日本刀。伝統技術に基づくその作刀工程から武器としての機能まで、科学的観点から解説した入門書。
平安中期に出現したといわれる日本刀は、日宋貿易の重要な輸出品にもなり、11世紀にはすでに日本刀の呼称で宋の人々に武器、さらに美術工芸品として高く評価されていた。反りのない直刀だった奈良時代の上古刀に始まるその歴史を概観。
その上で、たたら製法によって作られる素材の和鋼と主に12段階に分かれるその工程を解説。さらに、材料力学の視点で分析する武器としての日本刀の強度や強靱さ、相手の攻撃を受けた際の衝撃応答実験など。日本刀の美しさと強さの秘密に科学の目で迫る。(SBクリエイティブ 1000円+税)