「死なないつもり」横尾忠則著
80歳になった美術家が、創作や老い、人生について語るエッセー集。
10代の氏は、高校を卒業して郵便屋さんになるつもりだったが、先生に美大を勧められ受験勉強を始めたものの、同じ先生に説得され、前日になって受験をやめ、地元の印刷所に就職したという。主体性もなく、優柔不断に生きてきたが、日本デザインセンターに入社したときだけは運命に逆らった。そんな自らの青春時代を紹介しながら、「自分が何者かなんて、結局は他人が決めること。最近は何者でもよい、運命の女神に任せよう」と語る。
その他「隠居の本当の意味は好きなことで忙しくすること」など、自然体に生きる氏から発せられる言葉に、凝り固まった心が解きほぐされる。(ポプラ社 800円+税)