著者のコラム一覧
佐川光晴

◇さがわ・みつはる 1965年、東京都生まれ。北海道大学法学部卒業。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞受賞。02年「縮んだ愛」で第24回野間文芸新人賞、11年「おれのおばさん」で第26回坪田譲治文学賞受賞。著書に「牛を屠る」「日の出」など多数。「大きくなる日」は近年の中学入試頻出作品として知られる。

第2話 星一徹の涙 <8>

公開日: 更新日:

夢でうなされ、全身汗だく

 三男には、沼田からの帰り道の記憶がなかった。莉乃が運転する横で自分だけ居眠りをしていたはずはないが、本当に何一つ覚えていない。気がつくと、三男は莉乃と並んで団地の部屋に立っていた。

「ここが、あたしと三っちゃんのうち。一生懸命に働くから、少しずつ幸せになっていこうね」

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【連載】昭和40年男

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