「安楽死・尊厳死の現在」松田純著
オランダでは、2002年に安楽死が合法化され、いまや年間6000人を超える人が安楽死を選択している。後を追うように数カ国で安楽死が合法化。これらの国では、医師が患者に致死薬を注射する「安楽死」と、患者が処方された致死薬を服用する「自死介助」の双方を安楽死と定める。
一方でこうした国では、適用の拡大解釈や認知症患者への対応などの諸問題に直面している。日本では安楽死と区別して、生命維持装置の中止を尊厳死と呼び、法的に位置づけ制度化する動きがある。
先進国オランダや安楽死に最も寛容な国といわれるベルギーでの、法制化の経緯や実際に安楽死が認められる過程などその実態を伝え、多死社会到来とともに現実になりつつある「死の医療化」について考える。
(中央公論新社 860円+税)