「世にも美しき数学者たちの日常」二宮敦人著
東京工業大学の加藤文元教授は「数学はお金がかかる学問です」と言う。いろいろな人に頻繁に会うことが必要なので、旅費が必要なのだ。
教授はエジプトやイタリアなどに出張している。例えば、解析系の問題を解く時に、解析の中だけで仕事をしていても限界がある。他分野の人と話すと新しい発想が生まれて道が開けることがある。数学では問題と一緒に生活することが一番重要で、共同研究する時は相手と共同生活をして、食事中も旅行中も、その問題について話ができる状態にする。
聞き手に向かって話すことで自分のアイデアが育つ。そういう「共鳴箱」を持つことが必要なのだ。
「数学」という迷宮を探検するノンフィクション。
(幻冬舎 1400円+税)