「官僚制と公文書」新藤宗幸著

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 明治近代化以降、精緻に制度化された官僚制は経済社会の発展に寄与してきたが、それゆえに自己改革の機会を逸してきた。一方で近年、官僚制に依存した政治からの脱却が試みられ、官僚組織は組織が達成すべき明確な目標を失いつつあると著者は指摘する。

 官僚制の行動は、文書主義を原則とする。しかし、森友・加計疑惑が、公文書の改ざん、隠匿、関係機関間・当事者間での公文書の真贋(しんがん)争いなど、その原則が実は闇だらけであることを世間に知らしめ、行政への信頼は地に落ちた。

 本書は、官僚制における文書管理問題を解説。安倍長期政権による政権主導が官僚制の行動にいかなる変容をもたらしたかを論じ、公文書管理の視点から官僚制組織改革のあり方を考察する。

 (筑摩書房 820円+税)

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