「したたかな植物たち 秋冬篇」多田多恵子著

公開日: 更新日:

 中国伝来の彼岸花は、有性生殖が出来ない系統のため球根が分かれて繁殖。当然、移動能力がないので、各地に見られる現在の状況は、かつて人が積極的に移植した結果だという。

 実は彼岸花は人々の暮らしに寄り添う大切な有用植物で、最大の用途は飢饉に備えた救荒植物だったそうだ。ただし毒がありそのままでは食べられず、精製しなければならなかった。また彼岸花がよくあぜや土手に植えられるのは、増水などで球根が浮くと根が縮んで引っ張り込む「牽引根」で、球根があぜや土手の土留めの役割を果たしたからだという。

 他にも、踏まれることで生活圏を広げるオオバコや、性転換するカエデなど、13種の植物のサバイバル術に感嘆。

 植物の驚異の生存戦略を紹介する科学エッセー。

 (筑摩書房 950円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトB悪夢の本拠地3連敗「2つの敗因」…26イニング連続無得点よりも深刻なチーム事情

  2. 2

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  3. 3

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  4. 4

    3人の婚外子…菊川怜の夫・穐田誉輝氏“暴かれたスネの傷”

  5. 5

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  1. 6

    橋本環奈のパワハラ疑惑のこと? 嵐・二宮和也の正月番組のワンシーンが視聴者の間で物議

  2. 7

    橋本環奈《山本舞香と友達の意味がわかった》 大御所芸人に指摘されていたヤンキー的素地

  3. 8

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  4. 9

    夏菜の二の舞か?パワハラ疑惑&キス写真で橋本環奈に試練…“酒浸り”イメージもそっくり

  5. 10

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで