「『関ヶ原』の決算書」山本博文著
武具の調達にはじまり軍勢の移動費や糧食費など、大規模な合戦では経済力の差が戦力の差に表れる。「関ヶ原合戦」をそうしたお金の面から分析した歴史読み物。
戦国時代、大名から領地を分け与えられた部将は、戦のときは武器も兵糧も自弁で戦った。しかし、秀吉は動員された全員に兵糧米を支給するよう体制を改めた。
関ヶ原では、大名たちはこうした秀吉方式を採用。家康と彼に従った大名の兵力は5万5800人。東軍は兵糧米だけで現在のお金に換算して約30億円かかったことになる。また西軍につくなどして領地を失った除封大名の総石高は約438万石で、石高の半分を年貢収入と計算すると約1753億円の収入を失ったことになるという。
関ヶ原合戦を新たな視点で深掘りする面白本。
(新潮社 800円+税)