「『関ヶ原』の決算書」山本博文著

公開日: 更新日:

 武具の調達にはじまり軍勢の移動費や糧食費など、大規模な合戦では経済力の差が戦力の差に表れる。「関ヶ原合戦」をそうしたお金の面から分析した歴史読み物。

 戦国時代、大名から領地を分け与えられた部将は、戦のときは武器も兵糧も自弁で戦った。しかし、秀吉は動員された全員に兵糧米を支給するよう体制を改めた。

 関ヶ原では、大名たちはこうした秀吉方式を採用。家康と彼に従った大名の兵力は5万5800人。東軍は兵糧米だけで現在のお金に換算して約30億円かかったことになる。また西軍につくなどして領地を失った除封大名の総石高は約438万石で、石高の半分を年貢収入と計算すると約1753億円の収入を失ったことになるという。

 関ヶ原合戦を新たな視点で深掘りする面白本。

(新潮社 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  3. 3

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    阿部巨人が《もっともビビる》阪神投手の復帰でCS戦々恐々…Gナインに根付く苦手意識

  1. 6

    阪神・大山悠輔を絶不調に変えた根本原因…良かれと取り組んだオフの肉体改造が裏目

  2. 7

    兵庫パワハラ知事やコバホークも? 東大→官僚→政治家は“ピカピカの経歴”にあらず旧いタイプ

  3. 8

    やす子「24時間テレビ」での好感度上昇は諸刃の剣…早くも“イジリにくい芸人”になる懸念

  4. 9

    キムタクが迫られる「主役の座」からの退場…盟友からも“二番手”降格を提言される異例の事態

  5. 10

    神田正輝「旅サラダ」“有終の美”前に拒絶態度は変わらず…沙也加さん元カレ舞台中止で復帰は絶望的