「菌世界紀行」星野保著

公開日: 更新日:

「雪腐病菌(ゆきぐされびょうきん)」という超マイナーな菌類の性質と、それを求めて巡った海外調査の記録をつづったサイエンス本。とはいえ、その語り口はユーモアにあふれ、下手な紀行エッセーを読むよりも面白い。

 雪腐病菌は雪の下で越冬する植物に感染して、その名も「雪腐病」という病気をもたらす。知られている菌類の中で最も寒さに強いスクレロチニア・ボレアリスをはじめ、さまざまな種類が存在する。多くの雪腐病菌は室温ほどでも成長でき、他の菌と違うのは寒さに耐える力を持っているということだそうだ。

 そんな基本知識を解説した上で、日本の菌株とは性質が異なる菌株を求めて出掛けたノルウェーでの菌類調査をはじめ、シベリア、果ては南極まで。世界中の寒冷地を巡った旅を振り返る。

(岩波書店 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不倫報道の福原愛 緩さとモテぶりは現役時から評判だった

  2. 2

    ヒロド歩美アナ「報ステ」起用で波紋…テレ朝とABCテレビの間に吹き始めた“すきま風”

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    日本ハム水谷瞬プロ入り時のコーチが明かす覚醒のカギ「(当時)フライはまともに捕れず、バットにも…」

  5. 5

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  1. 6

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  2. 7

    夏休み到来! 我が子をテレビやゲーム、YouTube漬けにしない「割と簡単にできる方法」

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    ドジャースの“朗希タンパリング疑惑”で大迷惑!米29球団&日本プロ球団こぞって怒り心頭の納得理由

  5. 10

    「ブラタモリ」抜擢の桑子真帆アナ “金髪チャラ系”の大学時代