「八月の御所グラウンド」万城目学著
「八月の御所グラウンド」万城目学著
高知出身の彼女にフラれた大学4回生の朽木は、四万十川でカヌーをこぐ予定がなくなり、灼熱の京都にいた。
友人の多聞に頼まれて、御所グラウンドで午前6時から始まる早朝野球に参加することになった。多聞には3万円借りているので断れない。大学の研究室のメンバーなどをかき集め、中国人留学生のシャオさんがグラウンドのベンチの近くにいた「えーちゃん」も誘って、なんとか9人確保した。
ところが、試合中、ピッチャーの隼人さんの爪が割れるというハプニングが起こる。代わりにえーちゃんが投げることになった。えーちゃんはサイドスローで右投げ左打ち。顔もある投手にそっくりだった。(「表題作」)
京都のスタジアムを舞台に、スポーツに励む女子高生や大学生の青春を描く小説2編。
(文藝春秋 1760円)