(3)産門から早くも赤子の頭が
与平が住む元鳥越町の裏店は、夜のしじまもどこへやら、人が入り乱れて大騒ぎになっていた。
長屋のおかみさんたちが大慌てで湯を沸かし、布を抱えて走り回る。ただならぬ様子に怯えた子が泣き叫び、男たちはなすすべもなく立ち尽くす。
「お蔓ちゃん、しっかり。もうすぐ産婆さんが…
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