「凡人のためのあっぱれな最期」樋口裕一著
「凡人のためのあっぱれな最期」樋口裕一著
2022年8月、著者は61歳だった妻・紀子さんをがんで失った。10歳年下の妻が自分よりも先に逝くとは思ってもいなかったという。
彼女は死を恐れて嘆くことも、病気だからと家族に甘えることもなく、苦しみを口にすることもなく、著者が驚くほどあっぱれな最期を迎えた。夫から見た妻は、しばしば感情的になり、周囲に当たり散らすこともある欠陥の多い普通の人間だった。それなのになぜそのような最期を迎えることができたのか。ある日、夏目漱石の「菫ほどな小さき人に生まれたし」という俳句を改めて目にしたとき、その謎が解けたという。
妻との人生を振り返りながら、古今東西の文学・哲学を読み解き、「あっぱれな最期」を迎えるためにどのように生きるかを考えた生き方指南書。 (幻冬舎 1056円)