「海を破る者」今村翔吾著
「海を破る者」今村翔吾著
伊予の名門である河野家は一族の内紛のため没落していた。一遍上人は河野一族のひとりだったが、その争いに絶望して僧となり、修行の旅に出る。河野家の当主、六郎通有(みちあり)は、仇敵である一遍と密かに会っていた。
4年前、一遍が伊予を出た頃、元が日本を襲撃した。そのときは運よく野分(のわき)に助けられてなんとか撃退したのだが、まだ元は諦めていない。再び使者を送ってきたが、幕府は彼らを斬首した。六郎は蒙古帝国がすべての国を征服すれば、戦は絶えるではないかと、ふと考えた。だが、いずれは軋轢が生じてまた戦が始まると一遍は言う。
一族をまとめて元寇に立ち向かおうとした武将を描く歴史小説。 (文藝春秋 2200円)