「ことばが変われば社会が変わる」中村桃子著
「ことばが変われば社会が変わる」中村桃子著
1980年代まで日本に「セクハラ」という言葉はなかった。だから、それまでセクハラがなかったと考える人はいない。人々が「セクハラ」という言葉を使い始めたことで、それまで放置されていた行為が、被害者を苦しめる犯罪として社会的に重要な概念になったのだ。このように言葉と社会は密接に関係しており、社会の変化が言葉の変化を促し、言葉の変化も社会の変化を促す。
一方で、どの社会も言葉が変わることには強い抵抗がある。
本書は、セクハラをはじめ、流行語などが起こす社会変化を検証しながら言葉が社会を変化させるメカニズムを明らかにするとともに、言葉の変化に躊躇する私たちの意識についても考察する。 (筑摩書房 968円)