「四郎の城 キリシタン戦記」袴田康子著
「四郎の城 キリシタン戦記」袴田康子著
15歳の四郎は、肥後の家から小左衛門の操る船で大矢野島に渡る。大矢野の大庄屋の小左衛門は、四郎の姉の夫・左太郎の兄で、年が離れているが実の兄弟以上の存在だった。
2年前の寛永6(1629)年、幕府による弾圧で天草のコンフラリア(信心会)も瓦解寸前まで追い込まれた。しかし、長崎に隠れ住んでいた宣教師からじかに教えを受けた四郎が活動を始めたことにより、一度信仰を捨てた島民たちが立ち返り、四郎は島を巡り定期的にミサを行っているのだ。
天草や対岸の島原の農民たちは、凶作に加え度重なる重税にあえいでいた。業を煮やした小左衛門は武力蜂起を画策。デウスの教えを守る四郎は、何とか小左衛門の考えを改めたい。
島原の乱を描いた長編歴史小説。 (集英社 880円)