「社会保障のどこが問題か」山下慎一著
「社会保障のどこが問題か」山下慎一著
医療や老後の年金、介護、子育てなどに関わる公的な給付=社会保障は、人々が日々の生活に不安を持つことなく健康で文化的に生きていくための生活保障を目的としている。
しかし、日本の社会保障は、制度が非常に複雑で役所の職員やケアマネジャーなどの専門家でも把握が難しい。一方で利用者の側も抵抗感を感じるなど、制度を使いにくくさせている。さらに問題は、会社員や自営業者や個人事業主など、働き方によって社会保障が異なり、制度の複雑さや使いにくさの一因となっている。それが望む働き方や生き方を選ぶうえで障壁になることもある。
本書では、こうした社会保障が抱える問題の背景を法律学の視点から分析、その解決策を示すとともに新しい時代の社会保障のあり方を提示する。 (筑摩書房 1012円)