バイオリニスト川井郁子の「空しい日々」を一変させた宮川泰

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 宮川先生は私が曲を作っていくと、「なかなかこんな曲を書ける日本人はいないよ」などとまた褒めて、編曲し、バンドで演奏してくださり、「もっと書いてごらん」と背中を押してくれました。ダンスとのコラボとか、舞台で動き演じながら弾くという、多くのバイオリニストには不可能と思われるようなことに挑戦できるようになったのも、先生のおかげです。

 私も教える立場(大阪芸大教授)のひとりになり、8歳になる娘がピアノを習うのを見て、改めてわかります。例えば子どもを威圧し、上からおさえつけてレッスンさせても、コンクールで日本一にすることはできるかもしれない。でも、その先が難しくなってしまうんですね。怖いという気持ちが組み込まれてしまうと、将来の伸びしろがなくなってしまう。もちろん、伸び伸びやればそれでいいというわけではありません。私自身、ひとつ山を越えても、さらに高い山が見えてきて、息つく暇もありません。楽しいことばかりでもないけど、宮川先生のように前向きでいたい。

 私の場合、動きながら弾くと、音とより一体になれることがあるんです。別の女を演じることによって、いろんな感情がためらいなく出てきて、お客さまの波動と相まってトランス状態になるというか、恍惚感に包まれながらも、そんな自分を冷静に見ているもうひとりの自分がいたりして……ごくまれに、神様のプレゼントとしか思えないような瞬間にも出合えるんです。

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