「ケチで有名になるくらい倹約」していた俳優・山谷初男は今
40曲もあればリッパな歌手だ。
「50年くらい前だと思う。新宿にアートシアターって映画館があって、その地下が『蠍座』って劇場だったんだ。美輪明宏さんや三上寛さんなんかよく出てた。いつも人であふれ、せっかく来たのに入れない、って桃井かおりがこぼしてたのを覚えてるよ。そこで歌わせてもらったのが最初。つまり、経験だけは50年の大ベテランってことになる、ハハハ。山谷さんはどんな歌を歌うんですか、ってよく聞かれるけど、まあ、演歌じゃないのは確かだね。シャンソンに聞こえるって人もいて、オレ自身は昔のフォークかな、って気がしてる」
■レパートリーに寺山修司オリジナルが14曲
この日のライブは午後7時半にスタート。完売した40席には中年以上の男女に交じり、若いカップルの姿も。山谷さんはアンコールで寺山修司作詞の「菅原文太を見にゆくブルース」など18曲を熱唱した。
「『山谷初男の放浪詩集』ってレコードを42歳の時に出し、以後、同じタイトルで2回リリースしてる。42歳の時のヤツは寺山さんに書いていただいた14曲を集め、『菅原文太――』も入ってるよ。寺山さんに1曲や2曲、作ってもらった人はいても、こんなにたくさんあるのはオレだけ。もっとも、全然売れなくて、印税はまるで入ってこなかった、ハハハ」