“上方の爆笑王”落語家・桂雀々さんが語る壮絶「極貧生活」

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 かといって、生活費がないのは相変わらず。近所の民生委員さんの手助けで生活できるようになり、それでも足らんから、新聞配達や洋食屋の出前持ちのアルバイトをしてました。

 そんな時、たまたまABCラジオの落語番組「パルコ10円寄席」で聴いたのが(桂)きん枝兄さんの「狸の賽」。これがエライ面白うてね。以来、落語に夢中ですわ。そして西条凡児さん司会の視聴者参加型番組「凡児のお手並み拝見」の出演をきっかけに、本格的に落語家を目指したんです。

 入門したのは2代目桂枝雀師匠。小遣いはもらってましたけど、食べ盛りなんで、それとは別にどこへ行くにもなるべく歩いて交通費を浮かしてはパンを買うて腹の足しにしてました。

 ある日、そのパンを窓際に置いといたら、野良猫が食べよった。怒鳴りつけて追い払ったんですが、食べ残しはシッカリいただきましたよ。もったいないから。貧乏に慣れてると、それも苦じゃないんです。

 振り返ると、親に捨てられたんは落語の神様がボクに落語と出合わせるための試練やったんちゃうかな……。こう思うとね、つらかった頃が懐かしくも感じるんです。

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