下戸が結婚をきっかけに 渡辺裕之さん語る「お酒と原日出子」
思春期を迎えた頃は鼓笛隊とボーイスカウトに目いっぱい時間を費やしていました。チームで何かを成し遂げることの大切さを今も実感しますが、そういうDNAはその頃から培われたものだと思います。鼓笛隊の一員だった少年はやがてドラムと出合い、今は趣味を超え、プロとして演奏するまでになりましたが、その思春期に同時に夢中になったのが映画です。
とくにハリウッド映画が大好きで、「カサブランカ」のハンフリー・ボガートや、「ゴッドファーザー」のアル・パチーノは僕の憧れ。その時は今こうして彼らと同じ仕事に就くことなど、つゆほども思っていなかった……。彼らが酒を片手にニヒリズムの極致を演じるシーンにはもう憧れを超えて嫉妬ですよ(笑い)。
なぜかって、僕はもともと酒がほとんど飲めなかった。学生の時に友達とビアガーデンに行って、みんなに担がれて帰ってきて、わけがわからなくなった思い出すらあります。
社会人のスタートはルフトハンザドイツ航空で、同僚とドイツの甘い白ワインを飲んで気持ちが悪くなって「酒は自分に合わない」ことを確信。しかしながら、憧れのボガートやパチーノのように、酒を愛せるようになったのは家内と結婚したことからです。彼女、お酒が進むほどに話も面白く、おおらかになっていく……。しかも、絶対に酔わないし、飲んでも酔い潰れたりしない。