中国でドラマに抜擢 崖っぷち時代の矢野浩二を救った恩人
楊陽監督はこだわりの人。印象に残っていることがあります。ボクは日本の軍人のナンバーワンの役なので、カメラが回っていないときも日本人らしくペコペコお辞儀してはダメと言われたこと。というのも、秘密基地で300人の捕虜を前に訓示を垂れるシーンの捕虜役は、なんとモノホンの犯罪者。迫力のある目つきをしている彼らを威圧しなくてはいけない。礼儀正しくしてはダメなんです。
■日本から持参した90万円は底を突き、寝泊りの面倒も
楊陽監督は面倒見もよくて、撮影してから放送されるまでの1年半ほどの間、家賃が節約できるからと監督の制作会社に寝泊まりさせてくれました。そして、「ドラマが放送されれば浩二は売れる。それまで我慢しなさい」とずっと励まし続けてくれた。日本から持っていった90万円はとっくに底を突き、日本語を教える家庭教師のアルバイトで食いつないでいる状態でしたから、ありがたかったですね。
そもそも中国に行ったのは崖っぷちだったから(笑い)。19歳で役者になろうと大阪から上京して8、9年やっても鳴かず飛ばず。そんなとき、前の事務所のご縁で中国ドラマ「永遠の恋人」の主役のひとりという大役の話が入ってきたんです。