普天間かおりが心動かされた 井上麻矢さんの沖縄への思い
「木の上の軍隊」は井上先生の「未完の遺作」ともいわれる戯曲。太平洋戦争末期、沖縄本島の西南にある伊江島で、2人の日本兵が米軍に追われて、大きなガジュマルの木の上に2年間も隠れ住んでいた実話です。ところが、私は沖縄生まれなのに全然知らなくて、驚かされることばかりでした。
井上先生は本土の方にもかかわらず、そんな史実を知って舞台化しようと資料を集め、本当にたくさんの資料本やメモを残していらっしゃいました。それにすごく感動したのです。
■世間の沖縄のイメージに違和感
というのは、私が沖縄から東京に来た1990年ごろは、少し沖縄が注目を浴び始めた時期だったのですが、青い海と青い空がキーワードのリゾート地のイメージだけ。実際は毎日のように、米軍基地があることによるトラブルが起きていたのに、それはまったくといっていいほど知られていませんでした。
普天間基地はおろか、慰霊の日(沖縄戦が終わった6月23日。犠牲者を弔う日)すら、それ何? って感じ。沖縄とのギャップに、すごく違和感を持ったからです。