阪神戦名実況アナから転身 教師になった清水次郎さんは今
「阪神・淡路大震災は翌年1月。住んでいた西宮市夙川のワンルームマンションは、震度7の激震に大揺れ。室内の家具が一瞬で散乱し、死ぬかと思いました」
95年の夏の甲子園大会を皮切りに、96年からはプロ野球の実況中継を担当。甲子園球場での阪神VS巨人戦や、阪神がリーグ優勝した2003年、05年や、14年の日本シリーズ中継にも起用された。
「仕事は本当に充実していました。楽しいし、やりがいはある。なんの不満もありませんでした」
ただ、甲子園球児を取材しているうちに、大きな目標を目指して一心不乱の子供がいる一方で、犯罪に手を染めたり、生きがいを見いだせず、家族や周囲に傷つき、悩んでいる子供たちにも目を向けるようになった。
「アナウンサー、記者として、そんな子供たちと接しても限界がある。『教師として真剣に向き合いたい』。こう思って、転職することにしたんです。高校野球をやりたかったからじゃないですよ」
教員資格を取得するため、11年秋から日本大学の通信教育を受講。勉強には、仕事を終えた後や通勤のわずかな時間しか取れず、教員資格取得に5年かかった。