「飲んで元気だせよ」と差し出された郷愁誘う“プラッシー”
「清志郎さんファミリーと寂れた温泉宿に行った時、女性陣が着替え中の脱衣所に『やぁ、やぁ』なんてスケベのスの字もないような顔で入ってきた。その後、ガックリ落ち込んで部屋にこもっていた私。様子をうかがいにきた彼の手には、プラッシーが握られてました。『これでも飲んで、元気出せよ』と。思わず私も『あっ、ボス、どうもありがとうございます』と答えてしまいました。翌朝は、『オレのおかげで、女子の肌がツルンツルンしてるぞ』と笑い顔です。この冗談加減、何なんでしょう?」
プラッシーは当時としても、郷愁を誘うようなジュースだった。ただ、なぜお詫びにプラッシーを持ってきたのかは謎のままだ。
清志郎に近いスタッフたちは彼のことを親しみを込め「ボス」と呼んでいたが、呼び方についてはこんなエピソードもある。
「私が、ある音楽雑誌で清志郎さんのゴーストライターをしていた時でした。ツアーの追っかけのファンが清志郎のことを“先生”と呼んでいるというお話で、私は『オレはおまえらのセンセーのつもりはない。いいかげんにしてくれ』と文章に起こしたのです。ただ、その言い方がキツかったのか、清志郎さんからFAXで『だからそんなふーに、ボクのこと呼ばないでね。たのむよ』という文章を付け足してくださいと届いた。この一文を足すだけで、読み手の印象はガラリと変わります。もちろん威張っているところを見たことがありませんから、この一文は必要なんですね。たとえ怒っていたとしても、声を荒らげたりせず冷静な人です」