俳優・プロ雀士の萩原聖人「麻雀を五輪種目に」覚悟を語る
深夜の麻雀番組「THEわれめDEポン」(フジテレビ系)では13回の優勝経験を持ち、“芸能界最強雀士”の異名を持つ萩原聖人さん(47)。10月1日に開幕した競技麻雀のプロリーグ「Mリーグ」(注1)にはドラフト会議を経て参戦中だ。プロとして“魅せる麻雀”を打つことはもちろんだが、賭博、イカサマ、徹マンなどネガティブで不健康なイメージがつきまとう斯界のイメージアップにも乗り出している。「目標は麻雀が五輪の正式種目になること」と意気込む初代“Mリーガー”に、麻雀が幅広く市民権を獲得するための現状分析と課題、展望を聞いた。
■「ライバルは世の中の偏見」
――10月18日の対局でMリーグ5戦目にしてプロ初勝利を挙げた。
相手もプロですし、なかなか勝たせてもらえるわけではない。それでも東2局のリーチ・一発・ツモ・七対子・ドラ1の跳満とかは自分らしいアガリかなと。初トップはうれしいですけど南場に入ってからの展開には課題もあった。赤ありルール(注2)の全自動卓だから実力者が集まっても7万点トップとかが生まれている。自分の麻雀をやればトップが取れるのはわかったけどトライ&エラーです。
――麻雀が五輪の正式種目に採用されることを目標に掲げている。
課題は多いですが、まずは競技のイメージアップ。世の中の偏見がライバルだと思っています。たしかに麻雀につきまとうイメージは良くないですが、僕たちプロが麻雀の魅力を真摯に伝えることで若い子たちに面白さを感じてほしい。戦術、戦略、想像力を駆使し、人間が知的生命体でいる上で大事な要素がたくさん詰まっているゲームは他にはない。まずはその親御さん世代の意識を変えなければいけません。2、3年で状況が変わるとは思わないし、やり続けるしかない。僕の役割は他のプロよりも知名度があること。五輪の正式種目という目標のためなら大げさではなく死ぬ気で何でもやります。俳優業との調整でマネジャーは大変ですが、やりがいのある苦労と思ってほしい(笑い)。
――麻雀におけるプロとアマの違いは何か。将棋の場合は素人が藤井聡太七段と100局指しても1勝もできないが麻雀の場合はプロ相手でも半荘100回やれば5回は勝てる。
それはその通り。麻雀は運や配牌に左右される独特の競技でアマでもプロに勝ってしまうことがある。その上でプロとは何かと言えば、一言でいえば“スゴイ”と思わせる麻雀を打つこと。それは決して役満とか派手なアガリばかりではなく、1000点をアガるために親のリーチに無筋をバンバン切り飛ばしてカンチャン待ちをツモったとか、プロ同士のヒリヒリするせめぎ合いを見せること。運の要素を認めたうえで運を持ってくるのもプロの技術。相手がツイてるならば、相手のツキを落とす一打をどう打つのか。プロだからこそ打てる究極の一打を追求していきたい。