<4>“ばっばん”は風邪でも腹痛でもヤクルトを薬の代わりに

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 歌之介こと野間賢は鹿児島県・大隅半島の南西部、肝属郡大根占町(現・錦江町)に生まれた。3歳の年に父親の仕事の関係で京都に移住する。小学校に入学してすぐ、酒癖がよくない父親の暴力が原因で両親が離婚。賢と5つ上の兄と3つ上の姉を連れて、母親は鹿児島の実家に戻った。

「祖母が遺族年金で一人暮らししていた家に4人が転がり込んだので経済的に生活できるわけありません。それで母親が大阪の紡績工場へ出稼ぎに行き、仕送りすることになった。だから私はおばあちゃん子なんです。鹿児島弁で『ばっばん』と呼んでました。なんとか家計を助けようと、兄ちゃん、姉ちゃんと私でヤクルトの配達をしてました。まだ小さい瓶に入ってる時代です。本数が多いと重かったのを覚えてます。ばっばんはヤクルトがなんにでも効くと信じてて、風邪でも腹痛でも薬代わりに飲まされました。目が痛い時はまぶたに塗られたのでくっついて目が開けられない。するとばっばん、『目にはジョアの方がよかったかね』だって(笑い)」

 この逸話は落語のまくらに使っている。CDに収録した新作落語でも話したら、ヤクルト本社の社員が聞いて大いに喜び、全国の20以上の支社で落語会を開いてくれたという。

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